シェンノワール満室までの道のり

おかげさまで満室御礼のシェンノワール
2016年7月の開業から2年経ち、大家としての仕事も慣れてきた今日この頃です。まぁ仕事といっても週2回のゴミ捨てと週1回の共有部分のお掃除、それとお金の管理だけですが…。

でもこんな楽ちんな大家になれたのは満室を迎えた2017年10月以降のことで、それまでは毎日毎日、“満室にするにはどうしたら…”と頭を悩ませていたものです。

というわけで今回は、「シェンノワール開業までの道のり(下)」に続く、入居者募集にかけた苦悩の1年3ヶ月について書いてみようと思います。

■空室率100%を死守?

2016年は今年のような記録的猛暑ではありませんでしたが、それでもやっぱり夏は夏。
「普通、こんな暑い中で引っ越しなんかしないよね(汗)」と引越し閑散期ど真ん中の7月下旬に、私達夫婦はシェンノワールに一番乗りを果たしました。

でもそんな中、小型犬を飼っている方からシェンノワール初の内見の申込みが入ったので、まぁ閑散期でもボチボチ何とかなるだろう…とそこまで気にすることもなく、とりあえずは自分達の生活を落ち着かせることに力を注いでいました。

ですが、結局その内見自体がキャンセルに…。その時は「あら、残念」くらいの気持ちでしたが、結局その1件以降、犬を飼っている方からの問合せはピタッと止まってしまうのです。

その後の仲介業者さんからの電話は犬を飼っていない方のご案内ばかりで、「すみません、ウチは犬専用なので…」「あ、そうでしたね」と先に進めないやり取りが何度も続きました。中には手違いで、内見の後申込みまでしていただいた方もいて、申し訳なくもお断りすることもあったりと実を結ばないケースばかり…。

ちなみにこの頃の家賃は今より1万円近く高い強気な設定でした。それでも入居を希望してくれる人がいるのに空室率100%を維持する大家なんて、仲介業者さんにしてみればまったく意味不明だったかと思います。

↓大家のみの当時のシェンノワール

■鍵は周知にあり!

犬を飼っていない人からの問合せが実を結ぶことはありませんでしたが、これはこれで立地や設備など賃貸物件としては特に問題がなさそうという自信に繋がりました。これに犬専用という要素が加われば、犬を飼っている人にも興味を持ってもらえるはず!と希望の火はついたままでした。

が…、問題はそのシェンノワールのウリである「犬専用」を、どうやって犬を飼っている人達に届けるか?ということ。

もちろんその問題は最初からわかっていたことです。賃貸情報サイト上では、シェンノワールは“ペット可物件”であり、それ以上でも以下でもないのです。なので私達も、仲介業者さんだけにお任せにせずに、開業前からホームページを立ち上げたりFacebookページを作ったりと、自分達でできることは試していました。ただ少し誤算だったのは、それらのリンクを賃貸情報サイトや仲介業者さんのサイトに掲載することができなかったこと。
結局見てもらえるのは私達の知り合いなどのリンクを知っている人に限定されてしまい、犬を飼っている世間一般の人にはまったく情報をお届けすることができなかったわけです。

■そうだ、広告を出そう!

出来るだけ多くの人にシェンノワールを知ってもらうにはどうしたらいいか?こうなったら、もう誰かの力を借りるしか手はありません。

そこで考えたのがペット関係のWEBサイトへの広告掲載でした。サイトを見る人にとっては少々うざいバナー広告、これと同じ方法でシェンノワールのホームページや物件情報にリンクを飛ばせばたくさんの人に情報を届けられるのでは、と考えたわけです。

よし、善は急げ!とさっそくいくつかのペット関連のWEBサイトに対し、「愛犬家コミュニティがコンセプトの犬専用賃貸シェンノワールについて、広告を掲載してほしいのですが…」とお願いしました。すると、犬専用は面白いですね!と興味を持っていただけて、私達の希望どおりに広告を掲載することができたのです。

ペットホームウェブさんPECOさんに掲載された広告

この結果、ホームページの閲覧数もFacebookのフォロー数も増え、これまでにない多くの方にシェンノワールの情報をお届けすることができ、周知作戦自体は大成功を収めました。でもやっぱりそこは場所が固定化される賃貸物件。よくある通販サイトのように全国を対象とする内容ではなかったため、問合せに繋がったという実感までは残念ながら持てませんでした。

■運命の分かれ道…

広告掲載はしたもののなかなか手応えが得られない中、ある仲介業者さんから心がぐらぐら揺らいでしまう話をいただきました。それは、誰もが知っている大手企業から全6室を社員用に借り上げたいという法人契約の打診で、一気に空室率0%となるびっくりなお話。

法人契約なんて、数年、いやもしかしたら十数年は満室が保障される垂涎モノで、仲介業者さんもお師匠様(アパート経営の方)も「こんないい話はありませんよ」と大絶賛。空室率100%が3ヶ月続き、問合せ状況も芳しくなく下手したらそのまま年を越してしまう可能性のあるシェンノワールの現状に、周りの誰もが打診を受けるべき!と勧めるほどのビッグチャンスなお話でした。

確かに毎月のローン返済を考えると、全6室法人契約は喉から手が出るほど受けたい話です。お受けすれば金銭的な悩みから解放される夢のような話です。そしてさらに、この空室率100%がもたらす不安やイライラから解放され、その私のイライラをただひたすら受け止めて耐え忍ぶという苦行から夫は解放される、素晴らしい話なわけです。

でもこの話を受けてしまえば、愛犬家コミュニティの夢は絶たれることになります。

まさに究極の選択です。
まだ犬専用を諦めたくない!でもこれはもう諦めろという天のお告げ?…と思い悩む私に、「犬専用でなければ入ってくれる人はいます。行けるところまで行ってそれでダメなら諦める、でいいんじゃないですか?」と、ただ一人逆の意見を言ってくれた夫のおかげで私の意思は貫かれました。

あの時打診を受けていたら今のシェンノワールはないわけで、夫の助言には感謝しかありません。ですが、そこまで愛犬家コミュニティに興味はなかった夫こそ、実は法人契約賛成派だったのでは…と今ではひそかに疑っています(笑)

■家賃減額で申込みが!

大家としてありえない選択をした後も、空室率100%を維持する日々は続きました。
もう残る手札は家賃の減額くらい…。新築なのに減額なんかしてしまっては、下がる一方のこの先の家賃はどうなってしまうの?と思いましたが、家賃は相場なので下がりもすれば上がりもする、まぁ言ってしまえば大家次第です。

とにかく早く満室にして犬専用という実績を作らなければ…。これではいつまで経ってもペット可物件から脱却できない!

ということで、この近辺で築浅でペット可物件の最安値まで一気に家賃を下げて賃貸情報サイトの中でも目を引くレベルにしたところ、ついに犬を飼っている人から申込みをいただくことができたのです!

余談ですが、そんな待ちに待った申込みをいただいた日、シェンノワールはFacebook広告の仕組みを使った内覧会イベントを開催していました。それは、モデルルームを作り、1階の階段横の椅子に座り、11~15時までお客様が来るのをひたすら待つという苦行でした。

結果、来場者はゼロ…(涙)
まぁモデルルーム自体は、満室になるまでの約1年間各部屋で使いまわしたので無駄にはなりませんでしたが、もしこの日に申込みをいただけていなかったら、お通夜のような夜を過ごす羽目になったと思うので、本当にありがたいタイミングでの申込みでした(泣)

↓写真は、モデルルームとお客様のおもてなしセット

■引越しシーズンでリーチに!

初めての入居者さんを2016年11月にお迎えして勢いに乗ったシェンノワールは、年内にもうひとりの入居者さんをお迎えすることができました。これまでの私達夫婦と犬2匹のみの寂しい建物に、2組の入居者さんとワンちゃんが住みはじめ、ようやく大家らしい仕事が始まったのです。なので年末年始はひとまず募集の手を休め、管理業務と入居者さんとの交流に努めました。

そこに待ちに待った引越しシーズンの到来です!
コンスタントに続く内見と申込みに、気が付けば残りは一部屋に!開業から9ヶ月経ってようやく金銭面の危機を脱することができたのです(涙)

↓引越しシーズン後のバナー広告「まもなく満室」編

■ミッションコンプリート!

4月に入り、6部屋中5部屋に入居者さんがいる状況にすっかり安心した私達。
ここまで来たら満室になるのも時間の問題だね~、と気楽に構えていましたが、春が終わり夏が終わってもその日はやってきませんでした。ただそれは、愛犬家コミュニティとして理想形に近づきつつあるシェンノワールを壊したくないと最後の一部屋に慎重になってしまった結果でもあり(生活パターンの違いから申し訳なくもお断りした方が数名…)、空室率100%の時とは少し違うものではありました。

そんな中で迎えた2017年10月、ホームページを見て愛犬家コミュニティに賛同してくれた方が、最後の一部屋に入居を決めてくれました。この日をもって私達大家の苦悩の日々は終わりを迎え、今の楽ちん大家になれたのです。

以上が満室までの1年3ヶ月の道のりです。今となってはいい思い出ではありますが、本当に苦しい毎日に、新婚の私達はとにかくくたびれていたと思います(笑)

まぁいずれまた空室は出てきてしまうでしょう。ですが今は、すぐに満室になるシェンノワールを目指して頑張るのみ!これからも地道な努力を続けていきたいと思います。

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