シェンノワールの宣伝から両足が出てしまった前回のブログ。赤裸々に語ったうえに“夫と結婚するためにアパートを建てた”で話が終わってしまっては、私のイメージは“ちょっとぶっ飛んだ人”で終わってしまうので、ちゃんと考えてアパートを建てたんだというところを書いておこうと思います(笑)
ということで、今回は少し豆知識的に、賃貸併用住宅によるアパート経営についてのご紹介です。もっともらしく書いているところもありますが、私なりに勉強したことや体験談であって、正確性は不明です…。“ノウハウ”ではなく「ふ~ん」「へ~」といった“読み物”の位置づけでお願いします。
■地主の象徴だったアパート経営
庶民が憧れる不労所得。その中でもアパート経営は上位にランクインするポピュラーなものだと思います。たくさんのアパートを所有し、働かなくても毎月の家賃収入だけで生活ができるなんて夢のような生活ですよね。
しかしそんな生活ができるのは、先祖代々受け継がれてきた土地を持っている地主のみ。最近になって、土地のない庶民からその地位を手に入れるツワモノも出てきているようですが、そもそもアパート経営が地主の象徴であった所以は、土地を持っていないと銀行がアパートを建てるためのお金を貸してくれない、というローンの仕組みにあったわけです。
■アパートローンと住宅ローン
ご存知のとおり、お金を借りて自宅を買う時は住宅ローンを組みます。これに対し、アパートを買う時に組むのがアパートローンです。借りる側からすると、住宅ローンもアパートローンもお金を借りて後々返していくという行為に違いはないのですが、両者の間には、ローンの用途だけではないいくつかの違いがあります。それは、ローンが組めるかどうかの判断材料が、借りる人のお給料なのか建てるアパートの収益なのかという違いや、借りられる金額、金利、返済期間です。
生きていくために必要な“衣食住”の“住”に該当する自宅。それを手に入れるための住宅ローンはとても優遇されていて、金利も1%前後、返済期間も35年と長く、毎月のお給料でまかなえるように設定されています。一方、事業用であるアパートローンは金利も4%前後、返済期間も建物の耐用年数まで(アパートだと20年程度)と短く、住宅ローンに比べると毎月の返済額も厳しくなります。たとえば上の条件で4,000万円を借りた場合、毎月の返済は、住宅ローンで約11万円、アパートローンで約24万円と倍以上の違いがあります。
このアパートローン、もちろん地主でなくても組むことができるのですが、地主のように建物を建てるためだけにお金を借りるのと、土地を買う+建物を建てるためにお金を借りるのとでは、その金額は大きく違ってきます。アパートを建てても、家賃収入から土地+建物分の返済額を引くと残りはほとんどゼロ、となっては、収益で判断するアパートローンは組むことができない…これがこれまでのアパート経営が地主の独占市場となっていた理由なのです。
■サラリーマン大家の誕生
そんな地主の独占市場だったアパート経営が、土地を持たないサラリーマンにも手が届くようになってきました。その理由は「銀行がお金を貸してくれるようになったから」です。
この低金利時代、さらにはマイナス金利とお金を持っていてもいいことはないので、銀行としてはなんとかしてお金を借りてもらいたいわけです。そのため、ローンの審査基準を緩め、地主のように土地がなくても、あるいは自己資金がなくても、ローンが組めるようにしてきたのです。(それが行き過ぎて収益が見込めないようなアパートが乱立し、金融庁から引き締めが入りはじめたようですが…)
さらには、自宅と一体化したアパートであれば、アパートローンではなく住宅ローンでアパート経営ができますよ、という賃貸併用住宅用の住宅ローンまで出てきました。住宅ローンなので金利や返済期間がアパートローンより優遇されていて、さらにローンが組めるかの判断材料はアパートの収益だけでなくお給料も入ってくるので、アパートローンではクリアできない基準をクリアできるようになったのです。この商品のおかげで土地のないサラリーマンでもアパートが持てる時代がやってきました。
アパートを買うことは思いつかなくても、そろそろマイホームでも…と考え始めたサラリーマンが、賃貸併用住宅にたどり着くケースもあると思います。サラリーマンが当たり前のように住宅ローンを組んで手に入れるマイホーム。その選択肢の中に、”マイホームとともにアパートを建てる”という新しい選択肢が出来たのです。
■賃貸併用住宅のメリット
サラリーマンがアパートを持てるようになったとは言え、単に自宅を建てるのと賃貸併用住宅を建てるのとでは、同じ住宅ローンでも金額の違いは大きいものです。リスクを考えると、賃貸併用住宅を選択するのはちょっと…と思うのが普通の金銭感覚ですよね。でも自宅用に組む住宅ローンだって35年もの間リスクを背負うのに、あまり躊躇せずに当たり前の感覚でローンを組んでしまうのはなぜでしょう?それはみんながみんな住宅ローンを組んで自宅を買っているために、リスクを負った感覚が薄いからでは…というのが正直な感想です。会社が潰れたりリストラにあったり、災害などで自宅を失ったりすることもありますから…。
それなら、賃貸併用住宅には自宅を買うのと比べてどんなメリットがあるの?と思うわけで、ようやくここからが本題です。大きな借金をしてまで賃貸併用住宅を建てるメリットをご紹介します。
① 毎月の家賃収入でローン返済
当たり前ですが一番のメリットです。
毎月のローン返済額のすべてを家賃収入だけでまかなえるのがベストですが、たとえば3階建ての建物で1階に二つのワンルーム+2・3階が自宅というような小規模な賃貸併用住宅の場合、お給料からの補填が必要だったりします。それでも普通に自宅を買った時のローン返済額と同じくらいか、それよりも低い金額なのが一般的です。
② ローン完済後は家賃収入あり
自宅の場合はローンが終わっても収入はありませんが、アパートであれば家賃という収入があります。そんなこと言ってローンがなくなっても築35年の建物に住む人なんているの?と思いますが、仮に2部屋をたった2万円で貸したとしても毎月4万円の収入があります。年金生活の中にプラス4万円と考えたらすごいメリットだと思いませんか?
③ 経費が使える
アパート経営を始めると、サラリーマンでありながら個人事業主になります。そうなると、サラリーマンの世界にはない「経費」という概念が発生します。
この経費とは、アパート経営にかかる費用が入ってくるのですが、たとえば建築費用、ローン利息、火災保険、固定資産税など、普通に自宅を買った場合はお給料から払うものが、「経費」という扱いになってきます。賃貸併用住宅の場合はそのすべてが経費ではなく、賃貸部分のみ(先ほどの3階建てのうち1階がワンルームという場合は3分の1)にかかった費用が経費となります。経費であれば収入から差し引くことができるので、アパートの収益に対する税金もその分安くなり、すべてをお給料からまかなう自宅と比べるとすごいお得感があるわけです。
④ 税金が返ってくる
こうやって経費を家賃収入から引いていくと、アパート経営を始めた最初の年は、たとえ最初から満室であっても利益など出ずマイナスになることがほとんどです。でも個人事業主として確定申告をすると、アパートの収益(不動産所得)とサラリーマンのお給料(給与所得)が相殺されるので、総所得額が少なくなり、お給料から毎月源泉徴収されていた所得税が返ってきます。そしてその所得税と連動している翌年の住民税も安くなるのです。さらにはアパートローンではなく住宅ローンであれば、住宅ローン控除というありがたい減税措置も享受でき、+αで所得税が安くなるのです。
⑤ 残された人も安心
「住宅ローンは生命保険替わり」と言われるように、一般的な住宅ローンには団体信用生命保険(団信)というものが付いています。これは借りている人が亡くなった場合に、その保険がローンの残額を払ってくれるため、残された家族はローン返済がいらないというありがたい制度です。賃貸併用住宅であれば同じようにローンがなくなるだけでなく、残された家族に対して家賃収入が丸々入ることになるわけで、生命保険以上の安心感があります。
■もちろんデメリットも
こうやってメリットだけをみると、賃貸併用住宅はすごい仕組みだと思いますが、もちろんデメリットもあります。
1つ目はこれからの人口減少に伴う空室リスク。築浅物件は比較的満室になりやすいのですが、建物が古くなればなるほど空室リスクはあがります。リスクを抑えるために、良い立地を選ぶ必要がありますが、将来的にどうなるかはわかりません…。
2つ目は入居者との人間関係。自宅だけでは発生しない問題を抱える可能性があります。たとえどれだけお金の面でメリットがあっても、この点において賃貸併用住宅は嫌という人は多いと思います。
3つ目は災害などにより入居ができなくなり莫大なローンだけが残るリスク。これは自宅も同じですが額が違います。リスクを抑えるために火災保険に入るわけですが、それでリスクがなくなるわけではないので考えただけでも恐ろしいです…。
■おわりに
たらたらと書いてみましたがご理解いただけたでしょうか。まぁ内容をご理解いただけなくても、最初に書いたとおり、私が”ちゃんと考えてアパートを建てた”ということをご理解いただければこのブログの目的は果たせます(笑)。
人生何をやるにもリスクがつきもの。考え過ぎては何もできず、考えなさ過ぎては痛い目を見る。どちらを選ぶかだと思いますが、私はつまらない人生はもうお腹いっぱいなので、守りに入るよりも果敢に攻める方を選びたいと思っています!